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怪人44号 [猫使いの系譜]

 手塚治虫氏の鉄腕アトムという漫画の中で、「ホットドッグ兵団」と題する漫画がある。
怪人44号という人物が、手柄をたてた褒美として彼にとって、妙に懐かしい匂いのする犬の毛皮を望むシーンがでてくる。種明かしをすれば、怪人44号というのは、犬のサイボーグで毛皮は自分の毛だったのである。怪人44号がその毛皮に頬ずりし恍惚となっている姿のシーンは、子供心に、怪人44号の心情を理解して涙が止まらなかったことを、今思い出す。
 
 昨年の暮れに尻当てなるものを、ネットで購入した。流行のKポップアイドル「KARA」がすれば、似合いそうである。素材は、ラクーン。頬ずりすれば、獣の毛皮にうっとりはするが、ちっとも懐かしいという感覚はない。もっと厚目のものが欲しい。私の祖先はこれで、少なくともラクーンという獣ではないことが、図らずともわかる。尻当ての本来の使用目的は、登山者が雪渓を下り降りるときに使うものである。あるいは、百歩譲って、足場の悪い釣り場とか。室内で嬉しそうにクッション代わりに使っている例はない。ましてや、デイに着用して行くなどとは、とんでもない。

 2年で12kgやせた。そのお陰で腹とお尻の筋肉が減ってしまった。腹部はもとのズボンが穿けるようになって重宝しているが、問題はお尻の方だった。手で触れてみると筋肉がまったく感じられない。尻当てのお陰でこの事態が好転するかもしれない。朝起きるとまず、尻当てをつける。そのルーティンが楽しい。

 私が席をはずすと決って、ミーニャが私の席を乗っ取る。私は尻当てをしたままで、ミーニャの上に乗る。
「うぐっ、なにをするんだ、このjijii!」
「ふっ、ふっ、油断したな。」

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メドマー [雑感]

もう、訪問リハは半年を数える。担当の作業療法士の方は30代前半で、私より体が大きく、私にはもうなくなった若さのオーラに満ち溢れている。週2回のリハビリのメニュウの中に自主体操を組み込んでもらい半年間の経過を見てもらったが、バランスがよくなったと言われ、気分をよくしている。自主体操の内訳を記すと、スクワットが中心で、浅い深い、ひねりを合計50回。つま先立ちによるふくらはぎ,臀部のストレッチ。階段を利用した足の踏み上げを20回。

今月から週2回、午後3時より短時間のディサービスを受けてみないか、と担当のケアマネが薦めるので、送迎つきという条件でそのケアハウスヘ通っている。メニュウはエアロバイクが10分間、ニューステップを10分間でヘロヘロになった肉体に、ウォーターベッドでボディケア、(これがまた気持ちイイ)、その後メドマーという長靴の股まであるようなものを両足に巻いて加圧、減圧を足先から大腿まで繰り返す。それを30分間。その後入浴。しかも入浴は、介護士の方が付きっ切りで事故がないように支援してくださる。
私は、介護保険が、要支援2であるので料金は一ヶ月あたり4978円位。介護士の方が女性が圧倒的に多い事と、運動器が自由に使えるので、続けたいと思っている。

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五百万年ほど眠ってくるほどに・・・ [猫使いの系譜]

朝方、私は唇に違和感を感じ目覚めると、傍らにはミーニャが私を窺うように私の顔を覗きこんでいる。このところの寒のもどりで、ぬくもりが恋しくなったらしい。右手でちょっと脇を空けてやると、ミーニャはぞろりと入り込んでくる。少し前まではするりという感覚だったが今や、やけに長い汽車を見送る気持ちだ。押しつぶすんじゃないかという気遣いはもう、無用だ。それにしても、と私は考える。ミーニャは今、せっせと毛づくろいをしているが、時折、かわいいピンクのその舌が、自分の水戸様をなめているではないか。ひょっとして、私が朝方感じた違和感の正体とは、まさか・・・・・・・・。

 春を運んでくれる、蛍烏賊がお隣の富山湾で初の水揚げをしたそうな。竜宮そうめん、なるものがあるらしい。新鮮な蛍烏賊のあしの部分のみを用い、それをそうめんに見立てたものらしい。う、うっ、よだれが出てくる。
 春眠暁を覚えず、ではないが惰眠を貪っている。ちょっと、五百万年ほど眠ってくるほどに・・・そんな詩句の一片を思い出す。ふぁ~。

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私は見張られているのだ [猫使いの系譜]

  どうもミーニャは、私を自分の弟のように思っている節がある。テーブルについていると、私の足の味見に必ずやってくる。それがすむと、テーブル上のパソコンの裏側に陣取る。今では、後ろ足と握りこぶしのような頭部がパソコンの幅を超えてしまっている。そうして、鬱陶しそうに私を一瞥する。まるで、私が悪さをしまいか見張るように。私は、見張られているのだ。

 いつものようにパソコンでメールをチェックしていると、訃報が飛び込んできた。大学時代の同級生の愛息が亡くなったという。メールには死因が記されていない、私の二女とは、確か一つ違いの年下だったと記憶している。娘は一浪しているので、現役の彼とは卒業式が一緒だった。学部こそちがえ同じ大学だったので、彼への思い入れもひとしおだった。彼の母はアメリカ人で父である同級生とは、わけがあって早くに別れ、彼は父方の同級生のもとで育てられたのだった。容貌は色白で母親に似ていた。イケメンである。メールは極力、感情を排してはいたが、事務的というのではなく、なにかきょだつ感に満ち溢れていた。さぞかし無念だったろう。驚きばかりが先にたった。良寛禅師の言葉を思い出す。父が死に母死に子死に孫が死にさてその次は次々と死ぬ。子が父母より先に逝くほど、親不孝なものはない。

 「ji ji」ミーニャは私のことをこう呼ぶ。私が一人でいると必ず、様子を見に来る。最近では、呼ぶと返事をする。もっとも「あにき」と呼んだときに限られるが……。
「あにき、あにきの身体の縞模様がきれぎれになってますぜ。まだらだ。まるで豹見たいでカッコイイ。」
「うむ。」
「でも所詮、猫は猫。虎や豹にはなれない。(きっぱり!)」
「ぐぅ~、ぐぅ~。」   (こんどは狸かぃ)

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ミーニャに与ふる書 [猫使いの系譜]

 あたくそするな!笑いながら人形を棚から落とすな。私が、刺身を食べている時、顔を上下させながらタイミングをはかって手を出すな。はやく、ルイルイを覚えること。注意している途中で私の背後に、視線を移すな! 背後が気にかかるじゃないか。夜、私の股の間で、巣作りをするな。トイレへ行こうと急いでる私の手や足に、邪魔をするようにじゃれつくな。ドアは自分で開けろ 人を使うんじゃない。歓迎のくねくねダンスで床を掃除するな。トイレットペーパーをこまかく喰いちぎるな。眼をあわせただけで敵意をむきだしにして飛びかかるな、サルじゃあるまいし。
一箇所で爪を研げ、どこでも爪を研ぐんじゃない、家中の柱が爪あとだらけだ。ミーニャ、その上から目線はやめろ 私のほうが年上だってことを忘れるな。室内のハイビスカスの花をもてあそぶな、報復がこわいぞ、妻が大切にしている物だ。 一応、忠告したからな。
ベッドで寝ている私の腹の上に助走をつけてダイビングするな、昔は可愛かったが、今は重いばかりだ 時に成長は残酷だという事を知れ。
最後に、鼾をかくな。

 以上の八割が、いや六割でいいや、達成したなら、いよいよ盲導猫の奥義を授けよう。身を謹んで励むように。お互い時間がないと思うから、見切り発車も止むを得なし。

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朋あり 遠方より来る [雑感]

  大学時代の友人二人が、私の様子を見がてら当地に遊びに来てくれた。30年ぶりになるであろうか。昨年の暮あたりから、大学時代の他の友人から頻繁にメールが来るようになった。ここだけの話だが、今年になって、小学校時代の友が毎夜一人づつ夢に出てくる。今も、続いているのだが…。20年前に亡くなった父親も間際に、それまで音信不通だった友人から連絡があったり,それに向かって急に、身辺が慌しくなった記憶がある。本人の知らぬ間に、それは用意されているのだろうか。

 千里浜へドライブに行こうということになり、友人の車で行くことになった。一目で高級車ということがわかった。重厚感がある。「これ、なんと言う車?」「レクサス、一応ハイブリッド」 値段は我家の家のローンに匹敵するという、ケッ。

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まぁちゃん ありがとう [猫使いの系譜]

 5月1日は朝から初夏を思わせるような陽気だった。庭のバラの木々は一斉に萌えはじめる、ポポの木にも新芽が芽吹きはじめ、南天の木々は新緑に衣替えをしつつあった。ふと目を落とすと、常緑のつげの葉陰から、こちらを窺っているモノがいる。
「ハマジかい?」
「ダンナ、お久しぶり。」
「どうしたんだね。弟分の様子でも見にきたのかい?」
「いえね、この近くで、急に仕事がはいったもんで、ちょっと寄ってみたんですよ。」
「しかし、弟分のツバキねぇ、あれどうにかなんねえの? あたくそするわ、私のベッドに助走をつけてダイビングするわ、今日も、注意している途中で、視線を私の背後にしょっちゅう移すわ、で、ホント落ち着きがなくてどうしょうもないょ、まったく。」
「まだ、子供なんですよ。ダンナ。あっ、それから、ツバキは盲導猫の素質十分ですよ。だから、そう悲観することないって。」
「そうかなぁ。」
「そうですよ。だって、見えているんですからね。こればっかりは、才能ですから。」
「えっ、見えている? なにが?」
「ダンナも、あっしの姿が見えているくらいだから、訓練しだいで、我々の姿もじきに見えるようになりますよ。」
「我々って、ハマジの他に誰かいるの?」
 あたりに、季節には未だ早いニセアカシアの濃密な蜜の香が、漂った。

 夜、電話のベルが響いた。同級生のkからだった。まぁちゃんが夕方の4時頃に亡くなった、という連絡だった。お別れに来たのだと、私は、その時確信した。

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まぁちゃん、まあちゃん、まぁちゃん。 [雑感]

 小学校来の同級生の見舞いに行ってきた。第一陣は総勢9名、第二陣はこの連休を利用して帰沢した連中が見舞うという。病状にさわるというので、顔を見せるだけということになった。病名はすい臓癌。すでに黄疸があらわれ、人との応対が辛そうである。
 本人が初恋の人と公言してはばからないKちゃんも、手をさすりながら、今にも泣き出しそうである。

 鳥かごの中には、「ぬか」と呼んでいた鳥が気忙しく鳴き叫んでいる。一坪ほどのコンクリートで設えた水溜めの横を通り過ぎようとすると、その傍の5メートル位のニセアカシアの木の枝に、数十羽の「ぬか」が鳥かごの中の鳥と鳴き交わしている。私とまぁちゃんは、慌てて五段のかすみ網をしかけた。
 木のてっぺんには一際大きく、胸毛が赤い「ぬか」があたりを睥睨している。群れのボスに違いない。かすみ網の向こう側に鳥かごを置くやいなや、数十羽の「ぬか」が鳥かごの中の鳥を目指し、網の中に飛び込み、網に掠め捕られていく。興奮で喉がからからだった。鳥かごの中は、頭頂部に紅色の日の丸を刷いたような「ぬか」で、一杯になったが、どこにもあのボス鳥は見当たらなかった。

 まぁちゃん、あの「ぬか」っていう鳥は、「べにひわ」って言うんだってね。あのボス鳥はその後どうしたんだろう。まぁちゃん、また捕まえにいこうや。

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埋められない嫉妬 [猫使いの系譜]

 つばきの眼は、夜行性動物特有の縦長で濃紺の瞳が、ブルーの強膜のなかで揺らいでおり、私を見つめる時は、とても心細げだ。だが、興奮してくるにつれ、ビー玉を埋め込んだように瞳が丸くなり、それが部屋の明かりの加減でとび色に変わる。大きくて燃えるような瞳は、挑戦的でとても美しい。以前、こんな瞳を見たことがあったのを思い出される。
 それは、とび色ではなく、鮮やかな緑色していたのだが・・・。

 あれは、私が小学校4年生になったころ、担任のK先生はその年で2年連続の持ちあがり担任となった。私は、K先生のおおらかで、はっきりしている性格が大好きだった。どこか理想の父親像に結び付けていたのかもしれない。実際、年恰好も私の父親と似ていた。クラスは各学年一クラスしかなく32人が6年間、兄弟のように過ごした。そのクラスの中にH君という少年がいた。彼はアトピーを患い、いつも洗いざらしの長袖のシャツを着込んでいた。そんな彼をK先生はとりわけ可愛がっているようにみえた。K先生のいるところには必ずといっていいほどH君が先生にまとわりついていた。その日も、まるで小猿が太い幹でじゃれるように、小柄なH君は先生の首に手を回したかと思うと、瞬時に背中に隠れたりして、一向にじっとしてはいなかった。いつのまにか先生の周りに人垣ができていた。しかも、その人垣には女生徒が一人もみあたらなかった。というのも、少年たちの間でだけ先生がH君とじゃれあうと瞳の色が、変化する、という噂がながれていた。先生を取り囲んだ少年達は先生の黒茶色の瞳が変化する瞬間を見のがすまいと、先生の瞳を一心にみつめていた。そして、その変化をもたらすことができるのはH君をおいて、他にはいない事もしっていた。まるで儀式が厳かに執り行われるかのように、少年たちは秘密を共有したのだ。
 一瞬、先生の黒茶色の瞳が緑色に変化した。その緑色はえもいわれぬ美しさだった。私は先生の瞳が緑色に変わる瞬間に見せた切迫した絶望と崇高さの入り混じった表情をみのがさなかった。
 その時以降、私はH君に嫉妬を感じた。それは、立ち入ってはいけない、別世界のできごとのようであり、私には埋めようもないもどかしさばかりが残った。

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私は試されているのだ [猫使いの系譜]

 想像していた通りの違和感を感ずる、この遠用の眼鏡は。下半身を固定した状態なら複視は感じられず、ほころびかけの桜のつぼみも、以前にも増してはっきりと眺めることができるのだが、同時に他の行為を行おうとすると、バランスが崩れ身の危険を感ずる。この眼鏡は、お気に入りの椅子に座り、そこから庭を眺める時に使うとしよう。せっかく、銭湯へ行く夢がこれで、潰えたわけだが。最も銭湯で眼鏡でもあるまいに・・・。
 近用(老眼鏡)のものは、プリズム仕様のぶん、コップの底のようで、かけただけで、くらくらする。今使用している眼鏡のほうが、ずっといい。だんだん、新しいものを拒む年齢になって行く・・・。

 あたくそ、という言葉がこの地方に存在する。隣県では、悪口という名詞で使用するらしいが、我が県ではちょっと用例が違う。おもに動物が人間に対して行ういやがらせ。つまり、やつあたり糞。

 つばきが、あたくそをした。よりによって、私のベッドの布団の上に。妻もその惨状に声を荒げる。まるで、私を叱るかのようだ。もちろん、つばきはぶちのめされた、妻の手によって。我家では今、ちょっとした緊迫状態にある。
 つばきの報復がはじまる。妻のいない日中、つばきは、妻のお気に入りの人形を棚からおとす。私の制止もきかず、笑いながら(私には、そう感じた)。私のキレる限界を試すように。そう、私は試されているのだ。

 

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もう、ぷりぷり [雑感]

 最近、複視がすすみ、日常業務が煩わしく感じるようになった。遠近の距離が計れず、暗闇では手探り状態で足が前にでない。バランスが崩れ手は、身を支えるものを探っている。先日の受診のとき、担当の先生に訴えると、ならば眼科にて調べてもらうようにとのこと。すぐに眼科の方へ手配してくださった。

 眼科の先生に複視の状態とSCDの病状を話す。最初に白内障の検査をする。異常はない。どうもSCDとの関連を調べる術はないらしい。ならば眼鏡を複視補正仕様にしましょう、という事に落ち着いた。あらためて検査し、新しい眼鏡のための処方箋を作ってもらう。すぐに、行きつけの眼鏡店で処方箋どおり、遠用と近用の2個の眼鏡を発注する。複視のない世界。楽しみにしている。

 私は銭湯が好きなのだが、複視が進んだことや手すりもなくタイルの上を歩くことに不安を感じ、今では行かなくなった。複視が改善したら、杖をついてタイルの上を歩いてみたい。

 ぷりぷりしている。思わずその存在を確かめたくなる。
 春の野にのんびり草を喰む一匹の牛。傍らに牧童が一人、まどろんでいる。そこに旅人が通りかかり、牧童に問いかける。
 「いま、何時ごろだろう?」
 牧童は物憂げに顔をおこし、ヒョイと傍にいた牛のぷりぷりしたkinntamaを持ち上げると
 「10時10分だね。だんな。」
 「う、うむ。君は牛のkinntamaの重さで時間がわかるのか。すばらしい。」
 「いやね、だんな。こうすれば丘の上の時計台がみえるだけでさぁ。」
 
 ツバキの嚢をさわりながら、そんな小話をおもいだす。もう、ぷりぷり。

 
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オーベイか!? [猫使いの系譜]

 子猫の里親募集中というサイトがある。定期的に覗くようになった。すると、いました、いました。総勢8匹の兄弟猫、しかも、そのうちの4匹がシャムもどき。場所も同市内。早速、連絡、お見合いという運びになった。
 仲介のボランティァの方に連れられ一軒の民家にたどり着く。ご託宣のとおり私の家より北の方角だ。心が躍る。玄関口で挨拶もそこそこに、獣くさい隣室でご対面だ。子猫はじっとしていない。マジックインキかなにかで、印をつけたいくらいだ。目が慣れてくると、一匹気になる猫が・・・・。まさしく、シャムもどきしかも、たれ目、性別は雄。後は肉球の照合だけだ。裏返しにして、おそるおそる調べる。いましがた、うんこを踏んづけたような肉球が、みてとれた。三十郎!私の呼びかける声に、最初はかすかに、次第に誰はばかることなく反応する。しかも、そこにいた8匹全部が・・・・。くそっ。私は、知っている限りの猫語で質問してみる。
 「ハマジという名に覚えがないかい?」
 最初、知らんふりをしていた子猫が、怪訝そうにつぶやくのを私は見逃さなかった。
 「my brother ]   ( 欧米か!? )

 我家にツバキがきた。
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ダンナ、ありがとう [猫使いの系譜]

 朝方、寝ていると、誰かに呼び止められた気がした。
 瞬間に、ハマジが来たんだな、と感じた。 朦朧とした意識の中で、受け応えする。
 「ダンナ、寂しくなかったかい?」
 「なんだ、ハマジか。今まで何処へ行っていたんだい?」
 「ちよっと、あっちの世界からスカウトされてね。盲導猫が不足がちなのは、どこも同じらしいよ、ダンナ。高待遇で優遇してくれるってんで、試しに行ってきたんですよ。」
 「それで?」
 「二匹の共の猫が、すっかり、あっちの世界が気に入っちゃってね、ついつい、長逗留になりました。また、すぐに戻らなくちゃぁならないもんで、取りあえずダンナにだけは、お知らせしとこうと思って。」
 「そうか、寂しくなるなぁ。また、すぐに戻ってくるんだろう。」
 「そうもいかないんですよ。まぁ、なんだ、ダンナがあっちの世界へ来るってんなら、別ですがね。」
 「うむ。それもいいかもなぁ。」
 「またぁ、冗談ですよ。あっ、ところであっしの弟分がこの八月にこっちの世界に移ってきたようですので、できればあっしの代わりに面倒見てもらえれば、ありがたいんですが・・・。もちろん、盲導猫としての素質は十分です。」
 「お安い御用だ。ハマジよ、任せておきなさい。 それで、弟分は今、どこに?」
 「なんでも、ここから北の方角らしいょ。特徴は、オスのシャムもどきで、たれ目。そして、これが重要なんだが、肉球の掌の部分は、四足とも、うんこを踏んづけたようなアズキ色をしています。どうか、宜しくお願いたしやす。」
 「わかったょ。」
 「以前、名は三十郎、と申しやしたので、ダンナの事だからツバキとか、呼ぶんでしょうね、きっと。」
 図星である。
 「もう、行かなきゃ。」
 「もう、行くのか?」 
 「ダンナ、あ り が と う。」
 
 
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少年のように泣くとしよう [猫使いの系譜]

 ハマジが死んだ。
 兆しはあった。前日、秋祭りがあり、みこしが町内を練り歩いた。昨年の秋祭りでは、町内を練り歩くみこしの歓声や地響きに怯え、ハマジは家から逃亡、2日後によれよれになりながら帰ってきた。ところが今年のハマジは居間の椅子の下で丸まったままで、時折、物憂げにかしらをもたげるばかりだった。傍目から見ても腹は膨れ尋常な姿ではなかった。仰向けにして腹をさすってやるとゲホゲホと咽かえるのをみて、暴れても医者に連れて行こう、とその時思った。

 翌日、洗濯ネットに押し込み動物病院へ向かった。恐怖からか失禁していた。順番が来てネットに入れたまま診察室にはいる。
 「今、興奮しているので酸素吸入で落ち着かせその後レントゲンを撮ります。それまでお待ちください。」
 レントゲンの結果がでたという。
 「腹水が、だいぶ溜まっています。それと肺炎を併発しています。肺にも水が溜まりつつあるからでしょう。原因は血液検査をしてみないとはっきり、わかりませんが、恐らく、ウィルス性腹膜炎が疑われます。もし検査結果でそうであるなら、残念ながら今の医療では対症療法しかありません。とりあえず、今日のところは腹水の除去と検査の検体を確保します。」若い獣医が能弁に説明する。夕方までには帰れるという。時計は11時30分を指していた。いったん、自宅にもどることにした。

 1時30分に病院から、容体が急変したのですぐ来てください、と連絡があった。妻と二人で病院へ向かった。不安が不安を呼び悪い事態ばかり想像してしまう。病院に着くと看護士の方が出迎える。不安は的中した。ベッドの上で瀕死のハマジ。いったい何があったんだ。一目で危険な状態だとわかる。
 「酸素吸入の状態ですでに心臓がけいれんをおこしていました。」
 だから?なんなんだよ!私は、言葉をのみこんだ。妻のハマジを呼ぶ声が、悲しげに診察室にこだまする。皆、一生懸命だったんだ、と信じて、やり場のない怒りの矛先を納める。明日からハマジのいない日常が始まるなんて信じられない。

 朝の10時にハマジは庭を散歩していた。昼の2時には、もうなかない。私は、ハマジのいる庭の風景は、わすれない。ハマジの肉球の感触は、わすれない。夕方、海の見える小高い丘にハマジを埋葬した。そこには名も知らぬ黄色の小花が一面に咲いている。どこから来たのか二匹の猫が背後にひっそりと、たたずんでいた。

 げに われら あだなることに かかわりて なくことをわすれいたりしよ  (中原 中也)

 かなしい かなしい かなしい 今は、少年のように泣くとしよう。

 

 




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ひゅるり~ひゅるりららぁ~ [雑感]

 北陸地方は入梅は、まだである。今年は、空梅雨なのであろうか? 朝、目覚めると乾いた土の塊が土間に転がっているのが目に付いた。見上げるとツバメの巣が半分欠けており、異様な静寂があたりを包んでいた。空梅雨のせいでツバメの巣が干からびてしまったのだろう。せっかく、暖めていた卵はどうなってしまっただろうか?ふと転がっている巣を見る。巣の下には無残にも割れた卵の殻と黄身が土間に、こびりついていた。親ツバメは、どうしているだろう。さぞや、がっかりしている事だろう。その時、私は視線を感じた。目を移すと天井の梁のすみで一羽のツバメが、こちらを窺っている。しばらくすると、もう一羽が何処からともなく飛んできた。二羽は合流するとせわしなく、もつれ合いながらその辺を飛び交っていた。 
 「あ~ぁ、また一からやり直しだ。」 
 「あんたが、まだ使えるからって今年は、補強しなかったからよ。」
「そう、いうなよ。すべては地球温暖化が原因だよ。」
「いや、あんたがサボったせいよ。」
「・・・おまえ、ふとったんじゃねぇ?」
「・・・・」

 この二日の間に壊れた巣の隣で、みるみるうちに新しい巣が完成した。私とハマジは巣を見上げることが楽しみになっていた。最もハマジとは目的が違っていただろうが。以前より頑丈そうで、今風である。つがいのツバメが新居の巣の淵でなにか囁いている。
 「あんた、立派な巣をありがとう。」
「うむ。なんだ、淵は特に丈夫につくっておいたから。」
私は、どうも鳥語も理解できるようになったらしい。人が老いるということは、引くことばかりを考えていたが、足すこともまだまだありそうだ。そう捨てたもんじゃない。
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Scarface [エピソード]

 私はscarfaseである。原因は猫である。私の二歳前後の頃当時飼っていた雉トラの猫のご機嫌を損じた為だという。猫の爪は私の燃えるような頬に、深く食い込んだ。以来、人は私の目を見ずに傷を見ながら話すのが常となった。
 学生時代の私は、そのscarfaceのお陰で周囲から一目置かれていた。当時は東京の荻窪に住んでいた。 今は、跡形もなくなったが北口に西友ストアーがあり、そこの地権者であったM商事でアルバイトをしていた。仕事の内容といえば、M商事が経営していたレストランと喫茶店のウエイターである。
 あれは確か大学の二回生の夏だった。遅番のレストランの仕事を終え、いつも行く居酒屋に寄ったときのことだった。
 時計はすでに12時を回り私のほかに客は見当たらず、店のマスターもあくびをかみ殺していた時、なじみの客が入ってきた。かるく、マスターに挨拶を済ませると、こちらにも軽く会釈をした。私も会釈を返した。彼は近所のキャバレーの呼び込みを生業にしていた人で、20才位であろうか。話したことはなかったが、顔は見知っていた。同じ境遇の人間と思ったのか、妙に私に馴れ馴れしかったのを覚えている。その日は彼は仕事着のいでたちだった。浴衣姿で、 彼の後ろ帯には「夏祭り」と描かれたウチワが無造作にさしこまれていた。
 私は帰るタイミングを逸した。しばらくすると、彼がお銚子を片手に近づいてきた。「先輩!いっぱいどうすか?」 断る理由がない。「うむ。」と、私。はだけた浴衣の肩口から菊水の模様が見えていた。 (うっひゃー!)
 彼もまた、私の目を見ない。しばらくして、彼がおずおずと、私にたずねる。「先輩、その頬の傷はドスでハツられた傷っすねぇ!」「隠してもわかりやすよ。」「その物腰、だいぶ修羅場をくぐってきたんでしょう。」

 その日を境に、わたしはscarfaceの悲しみと楽しみを知った。







 

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いろつめたき 常緑樹のみ [雑感]

 二女が初給料で、本場のソーセイジの詰め合わせを贈ってきてくれた。実にうまい。ギネスの黒ビールとよくあう。大切に妻と食べてきたが、白ソーセイジを残すのみとなった。最後は儀式をするように食べねばなるまい。

 コードレーンの紺色の太畝のジャケットは未だ着れるだろうか?オックスフォード地のシャツに黒のニットタイをあわせよう。ズボンはオフホワイトのコットンパンツ。靴は、オーソドックスにコインローファ。色は深みある茶色がいい。
 桜の樹の下にテーブルを設え、ソーセイジが茹であがるまでに冷え切ったcoedoのビールとギネスの黒ビールを用意する。今日は二つのビールを混ぜたハーフアンドハーフだ。これだと、料理とビールの味、双方が引き立つ。「おーい、マスタードを忘れずに!」
 妻は、ベージュのトラディショナルのスーツに黒色のポロシャツ。白のデッキシューズがさりげない。髪をポニーテールに結い上げている。この儀式の意味が分ったらしい。

 この春キャベツはおいしい。歯ごたえがあり、シャキシャキとして白ソーセイジと、とてもよくあう。マスタードをたっぷりつける。ぷりっとした感触、噛み切ると適度に肉汁がほとばしる。coedoビールに黒ビールと混ぜることによって独特のコクがでてきたハーフアンドハーフを、いっきに喉へ流し込む。うーむ、言葉がない。ハマジにも味あわせてやりたいが、我家では人間様、猫様の序列だから、今回は、あきらめてくれ。残り一本。
 
 このところ好天続きで陽射しが例年より強く感じる。庭がもっと広くてプールなんぞ当然のようにあって、パラソルの下で物憂く日常が流れていく、そんなことを想像する。デヴィッド・ホックニィの世界だ。最も私は、ホックニィのように同性しか愛せない、ということはない。これでも、いたって間口が広いのだ。 彼はプールの水面に何を見ていたのだろう? 陽射しが強く、曖昧さが露ほどもないカリフォルニァで、彼は何を、探し続けていたのだろう。  「見つけたぞ、なにを?永遠を。それは、太陽と番った海だ。」 (ランボー 地獄の一季より
 
 庭の桜の花が全部散ってしまい、わが庭に緑以外目に付かない瞬間が訪れる。いつのまにか室生犀星の詩がわかる年頃となった。
 いまは花咲くものをこのまず  我が好みは匂ひなく  いろつめたき常緑樹のみ (室生犀星 童心より)
 
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まがまがしいオーラ [猫使いの系譜]

 飼猫のハマジは猫一倍、臆病なのである。決して私と妻以外に擦り寄ってきたりはしない。
 それとも、ハマジ一流のダンディズムの現れであろうか? 「人間には馴れない。」、とでもいうように、ハマジの行動は頑なだ。 
 たまに帰沢する娘二人にも、幻の猫と呼ばれている。

 「ハマジ、よ。おまえは、何故そう臆病なんだ?そんなに人間が嫌いか?」
 「いや、ダンナ。本当のことをいえば人間の出すオーラが、苦手なんすよ。特にダンナの二人の娘さんの出すオーラときたら、ヴィヴィッドで、暑苦しくて。こっちが焼き殺されそうになっちまうもんで、ダンナには悪いんですが、自分の身を守る為に10m以内には近づかないようにしているんです。」
 「でも、この間、妻のお母さんが来たときは、随分なついていたじゃないか? 喰いもんにつられるわけ?」
 「えっ、記憶にないなぁ。んーと、はいはいはい。あん時ね。あん時は身を守るほどのオーラを感じなかったからね。だって、言葉は悪いが、片足どこかに、突っ込んでいるような老人だよ。たしかに、おいらにも勝てそうな気がしたからだよ。」
 「勝てそうって、ハマジはいつも勝つか負けるかの世界に、身をおいてるわけ? まるで、侍の世界だね。すげぇーなぁ。」

 広告代理店に勤めている同級生が、仕事の依頼に来た。小学校から兄弟のように過ごした同級生である。彼は昨年、軽い脳梗塞を患った。それ以来、人間の角が取れたかのように、穏やかになった。細かい打ち合わせを終え、ふと、足元を見ると、ハマジが彼の足に擦り寄っている。
 「最近、身体の具合はどうなの?」「まぁ、ぼちぼちだよ・・・・。」
 「そう、それならいいんだけど・・・・・。」
 何かいやなものを見るように、私は、ハマジをみた。
 
 
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冠をとるように [雑感]

 今年は庭の桜が過去には見られなかったほどの花をつけた。五分咲きから満開にいたるまで天候が崩れず、今年ほど桜を堪能した年はない。満開の時期にすこしの雨が降り、それを契機にハラハラと花弁が散り今が一番、風情があって、うつくしい。
 まだ日が高いが、あては朝掘りのたけのこと、ほたるいかの刺身をからし味噌で、一杯やろう。酒の銘柄はもちろん立山。サクサクとした筍の感触、ついさっきまで生きていたかのように透き通ってはかなげなほたるいか。口に含むと小ぶりのイカそのままの感触が舌に絡みつく。と同時に、磯の新鮮な香りが鼻腔をくすぐる。酢をちょっぴり、たらしても良い。まさに春そのものだ。
 庭に向かう窓を開け放ち、桜の花弁を室内にひきこもう。杯で受けるのも、やってみたい。
 酒を飲むと足腰が弱くなったと痛感する。それでも飲みたい。

 冠をとるように、頭の中から取り去りたいものがある。過去の憂いではない。未来への不安がまるで、なにかの澱のように沈殿してゆく。
 
 二女が今春大学を卒業したので、先般、妻と二人で上京した。長女の卒業式以来で二年ぶりとなる。当時は杖をついていなかったが、今は、杖なしでは歩くのさえ覚束ない。宿はなるべく、移動に都合の良いように大学の近くにとった。卒業式の前日に家族水入らずで食事をする。久しぶりに全員集まったのでなつかしい、良い時間をすごした。卒業式当日は、二女は都合がつかないというので、その日は私の学生時代の友人三人を誘って、私の妻も交え五人で食事をすることにした。七年ぶりである。
 口にこそ出さないが、皆は、私の変貌振りに少なからず驚いた様子だった。目の焦点が合っていない老人がそこにいたからである。でもアルコールは容易に私達を昔にワープさせる。話は尽きず、私たちの投宿しているホテルの一室が二次会会場となった。その後、長女も加わり、宴席は一気に華やいだが今冬の再会を約して早めのお開きとなった。宴の間中、私は妻と娘の支えがなければ、トイレに立つこともできなかった。私の意志にかかわらず足もとがくず折れていく。
 翌日、東京駅に長女と二女が見送りに来てくれた。酒が入っていない時は、意外としっかりしている。
 「今度、いつ東京に来れる?」
 「わからん。」
 (もう、無理かもしれない)
 その時、目が、ジャミジャミした。私は、まるで私の母になったかのように感じた。
 
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納竿会 [雑感]

 今年も無事に納竿会が終わった。場所は例年通り九十九湾のニュー百楽荘の敷地内である。
 穏やかな日和で、釣には絶好のコンディションだった。海中は、リアス式地形特有の、深みのあるコバルトブルーで澄み渡っている。水深があり、小魚が湧いているのが見えるほどの、透明度だ。 
 最初の竿入れがもどかしい。狙いはオオアジ。胸の高鳴りをおさえながら、第一投を投ずる。今年初めて同伴する妻には、桟橋のふちねらいの仕掛けを設える。一番釣果は妻だった。2~3回竿を上下するやいなや、さびきの5本針全てに小アジがぶらさがっている。私の仕事が増える。妻の竿の針から小アジをはずし、オキアミを餌かごに補充する。一箇所に座り込んだまま、ルーティーンの仕事のようにもくもくと繰り返す。妻は上機嫌だ。桟橋からオキアミを撒くと、さよりが、身をくねらすように群がってくる。タモで取りたいと、妻が言う。無理に決まっている、彼女は、現実を知らない。
 魚類には、痛点が存在しない。でも、針をはずす時にかすかに聞こえるキュッという鳴き声は、痛かった、と私を責める声に聞こえる。南蛮漬けに文句をつけられた。

 昨年と変わったことといえば、歩行難が進んだこと。身体を貫いていたものが、なくなったように感じる。坂道が苦手だ。それと、同じ行為を繰り返した後、次の行為に容易に移れなくなった。持久力が衰えた。複視は症状が固定したようだ。遠投した棒浮が2本に見えるのには、もう、慣れてしまった。片目で目視すればいいだけだ。

 「ダンナ、大漁大漁。うまそうだけど、小魚ばっかりですねぇ。」
 「うむ、ハマジか。さすがに疲れたよ。なんかげん実を突きつけられたというか。」
 「どうかなさったんで?」 
 「うむ、来年はもう、無理かもしれないな。意志通りに身体が動かないんだよ。昔の記憶があるだけに、ちょっと、辛いもんがある。ハマジは知らないだろうが、私は昔、落とし込みの名人と呼ばれるほど黒鯛釣では有名だったんだよ。別名アカシアのチョウサンっていってな。朝早く、アカシアの花が開き始める頃、あの甘い匂いを身体一杯に沁みこませながら、黒鯛のノッコミ(産卵)を狙って、消波ブロックの上を走り回ったものだ。遠い昔だがな。」
「へぇ、人は見かけによらないっていうけど、本当だね。でも、ダンナ、今でも、ダンナの心からは、アカシアの香りがするよ。・・・うん。」
猫に慰められた。

 


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21Grams [雑感]

 先日、難病患者だけのヨガ教室に出席した。講師の方がSCDを患っている方なのでストレッチを中心にレッスンは構成されている。ウォーミングアップからストレッチ風のポーズを幾つか終えて20分ほどしたら、ここで一度シャバアーサナ(屍のポーズ)をとる。シャバとはサンスクリット語で人間が死んで、死後硬直がおきるまでの、一番、肉体がリラックスした状態を指すのだという。 「21g」という映画があった。人がいつか失う重さとはいったい何の重さか? というのがその映画のテーマで、タイトルは人間が死ぬと21gだけ軽くなるという、魂の重さを計測した実験に由来している。 そんなことどもを思い描いた。                                              
 まさに、21グラムの私の魂が、私の肉体から抜け出る瞬間を想像して、ポーズをとってみる。 
 トドのポーズではない。
 ただ寝っころがっているようにみえるシャバアーサナは、実はとても難しい。どこかに緊張する部分が残っていると、上手くリラックスできない。 おそるべしインド文明。 
 その後、いくつかのポーズと瞑想に至る呼吸法を伝授され、最後は、発声練習で締めくくられた。立ちましょラッパで、タチツテト・・・。今は、平成だよね。
 ヨガ教室が終わったあとは、普段使わない筋肉がこぞって存在を主張する。たとえ誰一人私の存在を知る者がいなくても、ここにあったという証言をしてくれ、ってな具合に。ワカッタ、わかった。わかったから、そう騒がないでくれ。

 


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背に柱、御膳には山海の珍味、脇に侍るは・・・・ [雑感]

 ピロリ菌の保菌状況の検査があった。検査の結果、保菌数値は基準値を下回っており、先生より、厳かにピロリ菌撲滅作戦に終息宣言がなされた。胃の検診は1年に一度は受診するようにとの通り一遍の忠告に、従順な患者を装いにこやかに頷いた。今日からは遠慮せずに晩酌が楽しめる。あては今が旬のふくらぎの刺身がいい。あぁ、しらたまの歯にしみ透る秋の夜の、だ。
 
 
背に柱、御膳には山海の珍味、脇に侍るは・・・ハマジかよ。外に目を移す。眼振で焦点が定まらない。 うむ、これも人生。
 暮れなずむ闇に秋の白そうび 庭には白薔薇が一輪ひっそりと咲いている。酒は立山、いつもの九谷焼の銚子に、とって置きの酒杯を、これへ。

「ダンナ、ご機嫌ですねぇ。るぃるぃ。」ハマジが私の左腕に上半身預けながら、ふくらぎの刺身を狙っている。
「ハマジよ、この杯のよさが分かるかね。酒を注ぐと、表面に四弁の花びらが浮き出てくる。隠し彫りというやつだ。」
「どういう仕組みで?」
「うむ、分からない、分からないから価値が有るんだ。四の五の言わず、まぁ、見てろ。こうやって、酒を注ぐとだな・・・・。」
「ダンナ、ダンナ、おいらには、花びらが3っつしか、見えませんが・・・。」 確かに3っつしかうつっていない。それも配置がいびつである。
「ダンナ、ひょっとして使うごとに減っていくとか?」
「そんな馬鹿な。」 思い当たる節がないでもない。前回この酒杯を使ったとき部屋の中は、もっと明るかったような気がする。光の微妙な加減が一因かもしれない。そう結論づけた。ハマジには、4っつが3っつになろうがどうでもいいことだった。
 ハマジはふくらぎを堪能し、私も久しぶりに酔った。特別でもない日常が過ぎていった。抱え込んだやまいを憂えてもしょうがない。何事もない一日を感謝しよう。このやまいは、ゆっくりと日常を蝕むかもしれない。でも、私は人生をそんなに急がない。
「ダンナ、この部屋暗くない? おっ、やっぱり蛍光灯が1つ消えてるんだ。」
見上げると、円形の蛍光灯の1つが消えており残りの3っつがいびつに並んでいた。

 
 


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宿題、残っているのに・・・―異聞。 [雑感]

 今年の納竿会は、十二月の最初の週と決まった。場所は、昨年と同じ九十九湾というリアス式海岸の湾内。その晩は湾内の旅館で、互いの釣果を称えあい一杯飲むことになっている。仕事上の知り合いや、その知人の釣り好きの人々、果てはパチンコ店で知り合った893屋さんといった面々が集い、開催日には、たいてい初対面の挨拶から始まる。私自身は、身体の都合上、昨年が最後と思っていた。釣り場の足もとは、しっかりしているとはいえ、歩行が覚束ない。複視のため、釣り針に餌がつけられない。釣り桟橋があるが、ふらつくため縁から1mは距離を置かねば不安になるなど、他の人の邪魔にならないように気ばかり遣い、ひどく疲れた記憶がある。今年も誘いを受けた時、昨年よりあらゆる症状が進んでおり、断ろうと思っていたが、妻が付き添うから一緒にという事になった。妻に釣りという新しい事を教えるという喜びも加担して私は出席の返事をした。今から楽しみにしている。

 昨年の納竿会が終わった酒席のこと。おいしい地酒を酌み交わし皆、数年来の知己のように打ちとけあった頃、例の893屋さんが笑いながら隣に座った。痩せぎすで、唇がちょっと血の気が失せたような色をしていた。さしつ、さされつしているうちに彼は、その日の釣果から、最近のスロットルの攻略法、893屋さんの生い立ちなど問わず語りに話し始めた。 彼は私より幾分かは若く見えた。
 「実は、俺、小さい頃海で溺れて死にそうになったことがあるんだ。それから、唇の色がわるくなったって、死んだおふくろがよく言っていたなぁ。今でも思い出すよ。浅い川があって、向こう岸で大勢の人達が手招きしている。とっても懐かしい。向こう岸に行くことが自分の義務のようにその時思えたんだ。で、向こう岸に向かって一歩踏み出そうとした時、すごい勢いで俺よりちょっと年上の男の子が、俺を追い越して行ってしまった。
 あっけにとられていると、おふくろの声がして、振り返ったら病院の中だったってわけ。今思えば、男の子が追い越していかなかったら、間違いなく俺は向こう岸に行っていたね。もちろん、翌日の朝刊にも小さく載っていたんだぜ。 -2時間半の奇跡-ってね。               
 もっとも、メインは追い越していったお兄ちゃんの記事だったよ。
 ―宿題、残っているのに・・・だったかな、たしか。」


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宿題、残っているのに・・・・ [雑感]

 あれは、確か私の中学2年の夏休みの最後の日だった。私の従兄弟が近くの浜辺で亡くなった。死因は心臓麻痺とのことで、食道には昼食に摂ったおにぎりが未だ残っていたそうである。実は、私もその日は同級生に誘われ同じ浜辺で夏休み最後の海水浴を楽しんでいた。水面と比較して水底は、ヒヤリと感じるほど秋の気配が色濃く漂っていたのを思い出す。
 人垣ができて、人々が口々になにかを叫んでいる。何事だろうと見に行くとそこには、小学校3年生の従兄弟が人工呼吸を受けていた。背中には、人工呼吸で規則正しく圧迫され続けたためにできた痣が、指の形に二筋ついていた。
 その前夜に私は不吉な夢を見ていた。仏壇から手が何本も手招きしていたのだ。招かれるままに仏壇の中へ入っていったのは、その従兄弟だった。続いて、自分も中へはいっていったが、そこは、普段の仏壇となんら変わりはなかった。「おーい、何処にいったんだよー。」そこで、目が覚めた。不快な気持ちが頂点に達していた。

 予知夢といい、既知現象といい、私はそれらの類は信じていない。事実を歪曲し、都合の良い意味付けほど、いかがわしい物はない。翌日の朝刊には、人垣から少し離れ、顔を手で覆っている彼の姉の写真と共に 「宿題、残っているのに・・・」という活字が躍っていた。

  

 


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part 2完 [雑感]

 病院へ行く朝、久しぶりに子供だった頃の感覚が蘇えってきた。あの頃は時間の経つのが今とは比べものにならないくらい遅く、苦しみは永遠につづくかと思われるほどだった。その朝、確かに子供の頃のように、私は出口のない不安に、さいなまれていた。でもそれは大人になった私にとって、永遠に続くはずもない不安にすぎなかった。自分で今、自分の肉体に起こっている異変に、なんとか名前をつけて見たかった。たぶん、胃潰瘍だろう。それとも、先日のバーベキュー大会で食った肉が悪かったんじゃなかろうか?だが結局は、癌ではないかという疑問の周りを、衛星のように経巡る不安の数が増すばかりだった。

 予約を入れてあったので、すぐに自分の番が来た。先生が昨日の血液検査の結果を伝えてくれた。貧血です。体内から出血があったんでしょう。うむ、思ったとおりである。次にエコーで内臓の状況を調べた。これが胃、これが肝臓、すい臓、胆のう、腎臓。異常ないですね。悪魔は何処に隠れたのか?今あぶりだしてやるから、待ってろ!
 鎮静剤が点滴で体内に注入される。先生は麻痺液をのどに、万遍なくふりかける。胃カメラがのどをかすめ胃の内部をくまなく探り、悪魔の棲家を探し続ける。

 モニターに胃の内部が細分化されて写し出されている。先生から、診断結果を知らせるから、と案内があった。奥さんもご一緒に、という言葉にドキリとする。ドキドキドキ。先生曰く、胃に異常はありません。つぎにモニターが胃の下部から十二指腸を写し出す。すると、なっなんだこの禍々しい痕跡は?病名は十二指腸潰瘍です。へっ?ここから、ピューッと出血したんでしょう。以前の潰瘍が再発したのでしょう。恐らくピロリ菌が原因ですな。先生は私にストレスがありそうだとは思わなかったらしく、ピロリ菌が原因だと言う自説に固執する。ピロリ菌を除去する薬を処方しておきましよう。ではお大事に。へっ。

 時は秋 空には神がしろしめし なべてこの世は 事もなし ってか。
酒はちょこっと飲んでも良いのか、聞くのを忘れた。

 
 
 


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人は悲劇の主人公となる日を心待ちにしている part 1 [雑感]

 先週の水曜日に、水溶液ばかりの妙な下痢をした。その日は、全く水分を摂った記憶がなかったので不快感ばかりが残った。
 次の日の午前中に、二回下痢をした。尾篭な話だがトイレットペーパーを見ると黒い便がついていた。二回とも排泄物はこれまで見たことがない黒色をしていた。身体がだるく感じたが食欲は普通にあるので気にも留めていなかった。
 夜の八時ごろ便意を催し、その日三回目のトイレにたった。 前回と同じ黒便がタール状に便器の中に確認された。私の肉体の中で何かが起こっていた。すぐに、立ちくらみが襲い、しばらくは歩けなかった。 妻に助けを乞い、どうにか一階のトイレに近い客間に急ごしらえの寝所を作ってもらい、そこで休むことにした。トイレに行くまで元気だったので、妻は私の深刻さに気がついていないようだった。妻は妻で東京にいる二人の娘とのメールや電話に忙しかった。電話の声がいつもよりなぜか弾んでいるように感じた。

 朝起きると体調が良くなったような気がしたので、病院へ行くのは夕方でもかまわないからと、妻を仕事に送り出した。
 その日は相変わらず下半身が締まらず、二回ばかりタール状の便が出た。立ちくらみとの戦いが続いた。
 二人の娘からは、妻から聞いたのであろう、矢継ぎ早に重篤の父親をいたわるような電話があった。妻からは安否を気遣うメールが再三あった。
 すでに彼女ら三人の中では、私は、癌患者なのであった。
 夕方、妻に連れられ近所の胃腸科クリニックへ出向いた。翌日、胃カメラで検診する予約をしてその日は、胃潰瘍の薬を服用するよう指示があった。病名は単なる胃潰瘍だろうか?
                                                   つづく

 


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あなたは、コロボックルを見たか? [猫使いの系譜]

 私の妻は、コロボックル使いらしい。
 彼女はコロボックルを、自分の服のポッケットから、意のままに出現させることがでがきるらしい。何匹もいて、特に自分をいじめる人には、やれと一声かけて送り出すらしい。暗い話である。アイヌの民話とは程遠いコロボックルだそうだ。
 姿は人間の形をして、中には武器を携えた者までいるらしい。迷惑な話である。
 そいつらが最初はこっそりと一匹から、そのうち主の命ずるままに次から次へと増え続け、終には相手を四方八方から嬲り殺しにするらしい。もちろん空想の話ということだそうだが。

 ハマジが例のごとく腰トントンを催促するように、尻尾をピーンと立てながら尻の方から擦り寄ってくる。
 「おい、ごまが、ついてるぞ。」
 「ギクッ、大きいやつ?」  「うそだよ。」                                                                      
   
 「ホントに、ダンナの言葉は猫の気持ちを傷つけるんだから。いじめる言葉を言わせたらダンナは天下一品だね。 ところで、ダンナの肩口にいる人はだぁれ?」
 「だぁれって、誰もいないよ。」
 「いや、そこの人?あれぇー?おかしいなぁ。」

 ハマジはコロボックル返しを修行中、レヴェルは上がらない。

 


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私は私自身を救済しよう [猫使いの系譜]

 母方の祖母が亡くなった朝は、寒気が厳しく薄氷が張るような日だった。
 その日、祖母になついていた飼犬の‘しろ’も犬舎の中で、息絶えていた。
 皆は、祖母が連れて行ったんだ、と話していた。
 私は連れて行く、というその表現にショックを受けた。
 いったい何処へ連れて行くというのだろうか?
 それともあの祖母こそが、実は犬の魂はもちろん人間以外のあらゆる動物の魂を自在に操ったと言う、伝説の獣使いだったのだろうか? 今まで、私は父方から受け継いだと思っていた資質は、母方からより多く受け継いでいたのではないか?
 だが、今となっては、探る術は何もない。

一条の明かりもないここは 漆黒の闇 
私の魂は まるで水を得た魚のように自由に空間を泳ぎ回る
私は私を縛る肉体から遠く離れる 私は私自身を救済しよう
時折感ずる気配は私を喰らおうとしているライオンの髭
この地は鉄でうねっている 幾多の主のいない獣がそこかしこに潜んでいる

 私の散歩は長くなりすぎた。


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来たるべき未来 [雑感]

 先日、SCD友の会に出席した。この会は、難病支援センターの音頭で今年発足した会である。
 オブザーバーとして隣県ですでに活動している50絡みの先達の方がみえていた。
 同会の会員は自分より年配の方々で構成されているように思えた。自分の病気はいかに深刻か、心痛は深く、将来を思い描けない、等々、病状を競い合う言葉が飛び交う。私はここにいる事が場違いのような気さえした。
 その中で「最近、歩行難が進み杖に頼らないと、両足が前へでない。家人は大げさだと言って、杖をつくのには反対なのだが、早から杖をついてもいいものだろうか?」私も、最近になって杖を使い出したので、その返答に興味があった。
 「杖は早く使うに越したことはありません。本当に必要な時に慣れていないと杖が邪魔になるばかりです。杖には慣れることです。」 オブザーバーの方がSCDの先輩患者らしく、そう答えた。
 脇には、その人の車椅子が置かれていた。
 杖を使う期間は、そんなに長い時間じゃありませんよ。そんな声が聞こえたような気がした。
 来たるべき未来は・・・、そう遠くはないのだろうか?
 


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その闇の導き手 [猫使いの系譜]

 盲導猫とは、誤解なくいえば、人間の魂が黄泉の国へと到る時、深い闇を経ねばならない。その闇の導き手の猫のことである。盲導犬の類とは似て非なるものである。人間は死ぬと、その魂は闇の中で一旦、盲しいる。その後、闇に慣れた魂は光を求め闇の中を彷徨うという。その盲しいた魂を正確に、黄泉の国まで導くのが盲導猫の役目である。人間との深い信頼を克ちえた猫だけにその資格があるのは言うまでもない。盲導猫と主人は一心同体であり運命を共にしなければならない。昨今、そういう資質を持った猫には、とんとお目にかかったことがない。亡父がその短い生涯を閉じた時、猫使いでありながら、一人寂しく闇の世界へと旅立って行った。私は亡父の踏んだ轍は踏まない。私は想像する、ハマジを先頭に大小さまざまの猫どもが私を黄泉の国へと導く姿を。


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